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2026.9.2

経産省ファミリーガバナンスガイドラインから考える、中小企業が今こそ理念を見直すべき理由

2026.9.2

日本企業の9割以上は、ファミリービジネスだといわれています。

ファミリービジネスとは、創業者や創業家が、世代を超えて株主または経営者として、
企業の存続や発展に重要な役割を果たしている会社のことです。

日本では、多くの中小企業が創業家を中心に経営を続け、地域の雇用や技術、取引、暮らしを長年にわたって支えてきました。

つまり、ファミリービジネスが永く続くことは、一つの会社や一つの家族だけの問題ではありません。
日本経済や地域社会を維持していくうえでも、非常に重要なテーマなのです。

こうしたなか、経済産業省は2026年6月、「ファミリーガバナンス・ガイダンス」を公表しました。

これまで企業のガバナンスというと、上場企業や大企業を対象とした仕組みをイメージすることが多かったかもしれません。

しかし今回、経済産業省は、日本経済や地域を支えているファミリービジネスに目を向け、
その強みを生かしながら、世代を超えて持続的に成長するための考え方を、国のガイダンスとして示しました。

このガイダンスのなかで、最初に掲げられているのが、

「理念・価値観・ビジョンの明文化と共有」

です。

後継者の選定でも、株式の承継でも、相続対策でもありません。

まずは、自分たちが何のために会社を経営し、どのような価値観を大切にし、
どのような未来を目指すのかを明確にすること。

そして、それをファミリーや経営者だけでなく、会社に関わる人たちと共有することが挙げられているのです。

これは、非常に重要な意味を持っていると思います。

経営理念というと、「きれいな言葉を掲げるもの」「朝礼で唱和するもの」「時間に余裕のある会社が取り組むもの」
と思われることもあります。

しかし、経済産業省が企業の持続的成長や事業承継を考えるガイダンスのなかで、
あえて理念・価値観・ビジョンの明文化と共有を最初に示したことからも、
理念は単なる精神論ではなく、企業を永く続けるための経営基盤だということがわかります。

会社を引き継ぐ前に、「何のために続けるのか」を明確にする

ファミリーガバナンスと聞くと、株式の保有や相続、後継者の選定など、
創業家のなかのルールづくりを想像する方が多いかもしれません。

もちろん、そうした制度やルールも必要です。

しかし、誰が株式を持つのか、誰が次の経営者になるのかを決める前に、考えなければならないことがあります。

それは、「何のために、この会社を次の世代へ残すのか」ということです。

会社を引き継ぐこと自体が目的になってしまえば、事業承継は単なる資産や経営権の移転になってしまいます。

一方で、自社が社会に対して果たしている役割や、大切にしてきた価値観、これから実現したい未来が明確になっていれば、後継者や社員も、会社を引き継ぐ意味を理解できます。

理念は、会社を「誰が引き継ぐか」を考える前に、「何を引き継ぐのか」を明らかにするものなのです。

理念は、一度つくったら完成ではない

経営理念を掲げていても、社員がその意味を説明できなかったり、
日々の判断に使われていなかったりすれば、十分に機能しているとはいえません。

今回のガイダンスでも、理念などを明文化するだけでなく、
事業環境や時代の変化に応じて、不断に見直していくことの重要性が示されています。

理念を見直すことは、創業者の想いを否定することではありません。

創業時から大切にしてきた価値観のなかで、これからも守り続けるものは何か。
社会や事業の変化に合わせて、表現や実践方法を変えるべきものは何か。
次の世代へ、どのような会社として引き継ぎたいのか。

これらを改めて話し合い、言葉にすることが、理念を未来へつなぐことになります。

理念は、日々の経営判断に使ってこそ浸透する

理念の浸透は、理念を暗唱できるようにすることではありません。

採用するとき。
人を育てるとき。
新しい事業を始めるとき。
お客様から難しい要望を受けたとき。
利益と信頼のどちらを優先するか迷ったとき。

そうした日々の場面で、「私たちの理念に照らすと、どう判断するべきか」を考えることが、理念の浸透につながります。

経営者だけが理念を語るのではなく、管理者や社員も、理念をもとに考え、判断できる状態をつくる。

そこまでできて初めて、理念は経営者個人のものではなく、会社のものになります。

会社を永く続けるために、まず理念から見直す

事業承継というと、後継者選びや株式、相続、税金など、制度や手続きの話が先行しがちです。

もちろん、それらも重要です。

しかし、会社の根本にある理念や価値観が整理されていなければ、形式的に会社を引き継ぐことはできても、
「その会社らしさ」まで引き継ぐことはできません。

会社は、今の経営者だけのものではありません。

これまで会社を支えてきた社員、お客様、取引先、地域、
そして、これから会社を担う次の世代へつないでいくものです。

自社は何のために存在しているのか。
何を守り、何を変えていくのか。
次の世代にも受け継いでほしい判断軸は何か。

ファミリーガバナンス・ガイダンスの公表を、制度を整えるためだけでなく、
自社の理念を見直し、社内へ浸透させるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

カクゴでは、自社だけでなくグループ会社、お客様先でも理念浸透をお手伝いしています。
いつでもご相談ください。

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