「老舗企業は変わらない。」
そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、京都・平八茶屋を訪れて感じたのは、その逆でした。
平八茶屋は450年以上の歴史の中で、時代に合わせて大きく姿を変えてきた企業です。
茶屋から始まり、萬屋、旅籠屋、料理屋、そして現在の料亭へ。
料理に使う素材や味付けも、その時代のお客様にとって最良と思われるものへと変化させてきました。
さらに、21代目のご主人は、
「料理の腕を磨くだけでは、社員も歴史も守れない。」
という考えから、料理人でありながら経営者としての学びも続けてこられたそうです。
つまり、変化することを恐れなかった企業です。
しかし一方で、決して変えなかったものもありました。
それは、
「時代に迎合するのではなく、時代に必要とされることを目指す。」
という考え方です。
初代は、京を出る旅人に一服のお茶を差し上げ、旅の安全を祈り、京へ向かう旅人には麦飯とろろ汁を振る舞い、旅の疲れを癒しました。
そこにあったのは、「料理を売る」ことではなく、「旅人に必要とされる存在でありたい」という想いです。
そして現在の企業理念には、
食を通じて、人と人とのつながりを深め、来ていただいた方すべてに幸せを感じていただくこと
により、会社の永続的な繁栄と社員の豊かな生活を目指す。
という言葉が掲げられています。
表現は変わっていても、本質は初代から変わっていません。
「人に幸せを届け、必要とされる存在であり続ける。」
その理念が、450年以上受け継がれているのだと感じました。
また、カクゴが研修旅行で訪れた際に、現地で特に印象に残ったのは、料理のおいしさだけではありません。
スタッフの皆さんの接客一つひとつに、お客様を大切にする想いが表れていました。
理念は額縁の中に飾るものではなく、人の行動に表れるもの。
そのことを改めて実感しました。
さらに、21代目のご主人が今も料理人として厨房に立ちながら、経営者として会社全体を見ている姿にも強く惹かれました。
現場を知っているからこそ、何を守り、何を変えるべきかを判断できる。
それも、長く続く企業の条件なのかもしれません。
カクゴが考える「永続企業の共通点」
私たちは、永く続く企業には3つの共通点があると考えています。
- 理念が社員一人ひとりに浸透していること
- 人財育成を経営の中心に置いていること
- 特定の事業や人に依存しない経営基盤を築いていること
平八茶屋では、特に「理念浸透」と「事業や人に依存しないこと」の重要性を強く感じました。
450年以上続いている理由は、建物でも、料理でもありません。
「人に必要とされ続ける」という理念を、時代に合わせた形で実践し続けてきたこと。
その積み重ねこそが、永続企業をつくるのだと学ばせていただきました。
カクゴの永続企業研究メモ
研究テーマ
変えてはいけないものを守り、変えるべきものを変え続ける経営
今回見えたこと
理念浸透 ★★★★★
初代の「旅人に必要とされる存在でありたい」という想いが、現代の企業理念や接客、おもてなしの姿勢にまで受け継がれていた。
人財育成 ★★★★☆
21代続く直系の料理人が、料理人であると同時に経営者としても学び続けている姿から、技術だけでなく経営の考え方を次世代へつなぐ文化を感じた。
特定のものに依存しない経営 ★★★★★
茶屋から萬屋、旅籠屋、料理屋、料亭へと業態を変え、素材や味も時代に合わせて進化させながら、「時代に必要とされる」という軸だけは変えずに守り続けていた。
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