最近、SNSで「業務委託なのに社員のように扱われている会社」が話題になっていました。
業務委託の人を多く集めているにもかかわらず、社外に対しては「社員」と呼んでいることで炎上していたケースです。
ただ、この問題は特定の企業だけの話ではありません。
実は多くの企業で、雇用形態と実態が曖昧になっているケースが見られます。
そして、この曖昧さは単なる言葉の問題ではなく、組織や仕事の進め方に大きな影響を与えることがあります。
直接雇用と業務委託は何が違うのか
まず整理しておきたいのは、直接雇用と業務委託は本来まったく違う関係であるということです。
直接雇用の場合、会社は従業員に対して指揮命令権を持ちます。
働く時間や進め方を管理し、成果だけでなくプロセスにも責任を持ちます。
同時に、会社には人を育てる責任も生まれます。
一方、業務委託は「成果に対する契約」です。
仕事の進め方や働く時間は基本的に本人に委ねられ、会社は指揮命令を行う関係ではありません。
教育や育成も前提にはなりません。
つまり、
- 直接雇用:組織の一員として働く関係
- 業務委託:成果を提供するパートナー関係
という大きな違いがあります。
雇用形態が曖昧になると何が起きるのか
問題になるのは、業務委託でありながら社員のような働き方をしているケースです。
この状態になると、いくつかの問題が起きやすくなります。
まず、責任の所在が曖昧になります。
業務の進め方や判断の責任が会社にあるのか、個人にあるのかが不明確になり、
トラブル時に混乱が起きやすくなります。
次に、働く人自身が守られにくくなります。
労働者としての保護は受けられないのに、働き方は社員と同じ、という状況が生まれることもあります。
さらに、組織としての成長にも影響します。
人材育成の前提が曖昧になると、会社としてノウハウが蓄積されにくくなります。
こうした問題は、短期的には見えにくいものですが、長期的には組織の力を弱めてしまう可能性があります。
なぜこうした状況が生まれるのか
では、なぜこのような状況が生まれるのでしょうか。
背景には、いくつかの理由があります。
例えば、
- 人件費を固定費ではなく変動費にしたい
- 採用のリスクを減らしたい
- 即戦力だけを集めたい
- マネジメントや育成の負担を減らしたい
といった経営上の事情です。
もちろん、業務委託という働き方自体が悪いわけではありません。
専門性の高い仕事やプロジェクト型の仕事では、とても合理的な仕組みです。
ただし、その関係性を曖昧にしたまま運用してしまうと、結果として誰も責任を持たない状態になってしまうことがあります。
大切なのは雇用形態ではなく「責任の設計」
企業として本当に重要なのは、雇用形態そのものではありません。
大切なのは、
- 誰が
- どこまで
- どんな責任を持つのか
が明確に設計されていることです。
直接雇用であれば、会社は人を育てる責任を持つ。
業務委託であれば、成果に対する責任関係をはっきりさせる。
この整理ができているかどうかが、組織の健全さに大きく関わってきます。
取引先との関係でも同じことが起きる
実はこの問題は、ネットの中やベンチャー企業だけの話ではありません。
取引先やパートナー企業とのプロジェクトでも、同じことが起こることがあります。
例えば、業務委託の方が多く関わるプロジェクトでは、
- 誰が最終責任を持つのか
- 誰が判断するのか
- 誰が品質を担保するのか
が曖昧なまま進んでしまうと、トラブルが起きやすくなります。
そのため、雇用形態を問題にするのではなく、
「どのような関係性で業務が行われているのか」
「誰がどこまで責任を持つのか」
を事前に認識合わせしておくことが、結果として良い仕事につながります。
見え方ではなく、実態を整える
会社を経営していると、売り上げの数値、社員の人数、…
「どう見えるか」を整えたくなることがあります。
しかし、本当に重要なのは見え方ではなく実態です。
雇用形態が直接雇用か業務委託かということ以上に、
責任の所在や働き方の関係性が整理されているかどうか。
その設計こそが、企業の信頼や組織の強さにつながっていくのだと思います。
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